やもりくん

僕の住んでいるマンションにはやもりくんが住んでいる。

それを見つけたのは、住み始めてから1週間後くらいの酔っぱらった秋ごろだった。

元々爬虫類大好きボーイなので、「可愛い!」と心がときめいたのを覚えている。

彼は、やもりと言うくらいで縁起がいい。

彼は、常にインターホンの少し右上の方に張り付きインターホンの方に視線を向けてじっとしている。たまにいない日があるから、常にそこにいるわけではない。でも、いる時は必ずその姿勢で待ち構えている。

何故か昼に見ることはなくって、夜帰るといることがある。

常にそこにいるわけではないので、見たらいい気分で1日が終われる。

もしかすると、夜は毎日いるのかもしれない。いい気分で帰ってきて余裕があるから彼を見つけることが出来ているのかもしれない。

現に、彼を見つけたときはいいことがあった日でもあることが多い。

かと言って、彼がいない日にもいいことは起きる。

でも、彼を見つけるとそれだけで癒されていい日になる。となると、結局彼を見つけたからいい日と思うことが出来ているだけかもしれない。

 

ちなみに、彼は寒くなるとどこかに姿を隠す。やもりが冬眠をするのかは知らない。けれど、彼はそう。今日、今年初めて彼を見た。でも、今思うとここ3年くらい見ているやもりは全て同じ彼なのだろうか?もしかしたら、爬虫類嫌いの住人に殺されているかもしれない。そのたびに、代替わりしてこのマンションを見守ってくれているのかもしれない。

でも、僕が彼を見つけていい気分になることは変わらない。

今日、企画書を1日で5本くらい書き終えた。満足感が高かった。

だから、彼を見れたのか、本格的に夏が始まりかけているだけなのかは彼だけが知っている。